入院や治療で大きな出費!そんなとき役立つ「高額療養費制度」とは?
「高額療養費制度」という公的保障をご存知ですか?
病気やケガなどで長い間入院や治療をして、窓口で払う自己負担額が高額になったとき、その負担を和らげるための制度です。
ひと月の自己負担額が上限を超えると、超えた分が後から戻ってきます。(※申請が通った場合)
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ただし、ひと月の自己負担額の上限は収入や年齢によって変わるので、あなたに合った支給条件を知っておいた方が安心です。
そこで今回のコラムでは、
- 収入や年齢によって変わる「ひと月の自己負担額」の上限
- カウントできる自己負担、カウントできない自己負担
- 申請方法や支給までの期間
など、高額療養費制度の基本ルールについて、詳しくお伝えしていきます。
いざというときに使える公的保障について、一緒に学びを深めていきましょう。
高額療養費制度の基本ルール
まずは、高額療養費制度の基本ルールについてです。
自己負担と認められるのは・・・?
高額療養費制度では、公的医療保険が適用される診療(入院治療・外来治療・処方せん薬)に対して支払った金額(窓口負担)が自己負担額として認められます。
公的保険の効かない入院中の食事や差額ベッド代、先進医療、自由診療に対して支払った自己負担額は含まれません。
高額療養費制度の自己負担に当てはまらない費用(入院中の食事や差額ベッド代、先進医療、自由診療に対する自己負担)は、民間の医療保険でカバーするのが合理的です。
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自己負担額のカウント期間
自己負担額のカウント期間は、「月のはじめの日~末日」と決まっています。
例えば、4月15日~5月20日まで治療した場合、4月分と5月分で自己負担額が分けてカウントされます。
それぞれの月で自己負担額の上限を超えているか否か?で高額療養費の払い戻しが判断されます。
自己負担額は合算できる
複数の受診で払ったそれぞれの自己負担額は、ひと月単位(月のはじめの日~末日)で合算ができます。
また、お父さんの会社の健康保険にお母さんも子供も加入しているなど、「同じ種類の健康保険に入っている家族(=同じ世帯)」であれば、それぞれの自己負担額をひと月単位(月のはじめの日~末日)で合算ができます。
※ただし69歳以下の場合は、医療機関ごと(医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来)に分けて集計し、ひと月2万1000円以上の自己負担のみが合算されます。
このように合算した金額が自己負担額の上限を超えていれば、超えた分が高額療養費として戻ってきます。
高額療養費制度で払い戻し金額を決めるために必要な「自己負担額」の算出ルールをまとめると、
①公的保険が効く診療で払った窓口負担が対象
②カウントは月ごと(月のはじめの日~末日)
③複数の受診で払った自己負担は合算できる
⇒ただし69歳以下の場合は、医療機関ごと(医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来)に分けて集計し、ひと月2万1000円以上の自己負担のみ合算
④同じ種類の健康保険に入っている家族(=同じ世帯)の自己負担は合算できる
⇒ただし69歳以下の場合は、医療機関ごと(医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来)に分けて集計し、ひと月2万1000円以上の自己負担のみ合算
となります。
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高額療養費制度の自己負担額の上限【69歳以下の人の場合】
※高額療養費制度は何度か改正されています。ここでは「平成30年8月診療分から」の基準を紹介します。
69歳以下の人の場合、高額療養費制度の「ひと月の自己負担額の上限」は、年収に合わせて次のように変動します。
※厚生労働省の資料より引用
例えば、年収400万円の人がひと月(月のはじめの日から末日まで)に50万円の医療費がかかり、窓口負担(3割の自己負担)として15万円支払ったとしましょう。
この場合、高額療養費制度の自己負担額の上限は表(ウ)の区分で計算され、
80,100円+(500,000-267,000)×1%=82,430円
となります。
つまり、戻ってくる金額(上限を超えた分)は、
150,000-82,430=67,570円
となります。
高額療養費制度の自己負担額の基準【70歳以上の人の場合】
※高額療養費制度は何度か改正されています。ここでは「平成30年8月診療分から」の基準を紹介します。
70歳以上の人の場合、高額療養費制度の「ひと月の自己負担額の上限」は、年収に合わせて次のように変動します。
また、外来だけの上限額も設けられています。
70歳以上の場合、医療費の窓口負担の割合が次のように細かく決められています。
なので例えば、71歳で年収200万円(一般の区分)の人がひと月(月のはじめの日から末日まで)に50万円の医療費がかかり、窓口負担(2割の自己負担)として10万円支払ったとしたら、
高額医療費制度の自己負担額の上限は57,600円。
つまり、戻ってくる金額(上限を超えた分)は、
100,000-57,600=42,400円
となります。
「自己負担の上限金額を超えた分が戻ってくる」という点がこの制度のポイントです。
逆を言えば、自己負担の上限金額まではご自身で支払う必要があるということです。
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申請方法と支給までの期間
高額療養費制度を利用するには、加入している公的医療保険(健康保険組合・市町村の国民健康保険・共済組合・後期高齢者医療制度など)に申請書を提出します。
申請書は、各公的医療保険のホームページなどでダウンロードできることが多いです。
その後審査がおこなわれ、申請が認められれば3~4ヵ月後に高額療養費が支給されます。
実際に支給されるまで、少し時間がかかることを覚えておきましょう。
民間の医療保険の役割は高額療養費制度でカバーできない部分を補うこと
民間の保険会社が販売している医療保険は、高額療養費制度でカバーできない費用を補う目的で加入するとムダがありません。
例えば、入院時の差額ベッド代や食事代、がん治療に用いる陽子線などの先進医療。
そして、高額療養費制度を使ってもなお支払う必要のある自己負担額。
これらの費用を民間の医療保険で備えておけば、万が一病気やケガをしたとき、経済的負担を小さくできます。
最も理想なのは、いつまでも健康でいること。ですが長い人生、何があるかは分かりません。
もしもの時に公的保障はどこまでカバーできるか?
カバーできない部分に対してどのように備えるか?
「あらかじめ知っておく・考えておく」と、慌てずリスクに対処できるでしょう。
人生100年時代と言われるようになった今。
誰もが直面する「医療保障」について、知識を増やしておくと安心ですよ。
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